目はふさぎ、耳は閉じられてもなお、「世界は美しい」と言える。それが魂の力だ。
今日も「在る」ことの意味を問い続ける探求者な皆さまこんばんは。
夜の世界を散歩する男、オレさまです。
「夜の月は、おめぇの瞳に浮かぶときが、もっとも美しいんだぜ」
なんてセリフを平気で言い放ち気味ですが、だいじょうぶ、
インフルにはまだかかってません。(藁
さて。こうした神秘学的な学びをしていると、まま言われることがある。
たとえ霊的な世界を信じていたり感じていたりしても、「ぶっちゃけ見えないんで、よくわかんねぇし、学ぶことに意味あるのかね」と。
まぁ、当然、思うことだろうし、何度も似たようなことは言われた。
とくにこのテの思いはぜんぜん興味ないヤシらよりも、信じたい気持ちはある、でも見えないから意義が見出せない、という心情のヤシに多いようだ。
まぁ、そうなら無理しないでいれば?と思わないでもないが、歩き続ける魂のともし火を遺したのも、ルドルフ・シュタイナーなど、過去の偉大な神秘家たちだ。
上記のようなコメントをもらったこともあるので、シュタイナーの言葉をもって返答としよう。
シュタイナー自身が似たような問いを受けたとき、下記のように答えた。少し、長くなる。
「……わたしはヘレン・ケラーの美しい言葉で答えたいと思う。彼女は二歳のとき盲唖になった。
七歳のとき、彼女は一種の動物のようであった。
そして、彼女は愛情に満ちた才能のある教師、アン・マンスフィールド・サリヴァンに巡りあった。
そして今日(1906年)、26歳になったヘレン・ケラーは、アメリカで最も学識ある人物の一人になっている。
彼女は学問に精通し、驚くほど博識である。古典文学、近代文学だけでなく、プラトンやスピノザなどの哲学者についても、彼女はくわしく研究している。
いまでも、光と音の世界は、彼女には閉ざされているのだが、感動的な生きる勇気を持ち、世界の美と崇高さに対して心から喜びを持っている。
その著『楽観主義』の中で、彼女は次のように書いている。
「何年もの間、夜と闇が私を取り巻いていた。それから、わたしは教えられ、夜と闇のかわりに、平和と希望があらわれた」。
ほかのところには、「わたしは思考と感情を通して天国を得た」と、書かれている。
彼女に与えられたのは、視覚でも聴覚でもない。感覚界は彼女に閉ざされたままである。
彼女はほかの人から教えられたことによって、感覚界に達したのである。
偉大な天才たちの崇高な思考が彼女の中に流れ込み、学問を通して、彼女はわたしたちが知っている世界に関与するようになったのである。
ほかの人から高次の世界のことを聞き、自分では高次の世界を見ることができない人も、このような状態にある。このような比較は、高次の世界からの伝達の重要性を教える。」
(20p~21p,ルドルフ・シュタイナー『神智学の門前にて』:下線部強調はオレ)
目も見えず、耳も聞こえない。
そのようなヘレン・ケラーにとってこの物質世界は、ちょうど多くの人にとっての高次世界と同じように「見えず、聞こえない」世界だった。
だが、ヘレン・ケラーは自らの思考に注ぎこまれた偉大な「先人たちの思考」によって世界を認識した。それだけに留まらなかった。さらに<世界は美しい>と感じ取り、その魂は歓びに打ち震えることさえできた。
五感が揃っていながら、世界が美しいと感じれないほど魂が弱ったヤシもいるというのに、なんという違いだろうか。
つまるところ、ヘレン・ケラーが示したのは、今は見えないと感じている上位世界も「思考」という魂の力で共感し、認識することができるということだ。
彼女と同じように、多くの人々は、霊的な、高次の世界を見ること・聞くことができないだろ?
だが、学ぶことを通して世界を見た彼女は、「世界は美しい」と感じて魂をふるわせ、生きることを肯定する力を魂の内から沸き立たせたんだ。
同じように、今は盲目であっても、先人の遺した高き世界を示す叡智を魂のうちでふるわせるとき、やはり同じようにオレさまたちも、さらなる世界とその美しさを認識しうる。
それは、ヘレン・ケラーに生きる力を与えたように、オレさまたちの心魂にも、人生を、そして宇宙を肯定する無限の力を沸き立たせてくれるのだ。
それだけでも、途方も無い価値があることだと、オレさまは思ってるぜ。
ま。そんな話だ。
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