叡智と真理を探究する者のために

引き寄せの法則はどこからきた?

はい、どーも。エロス系神秘学徒オレさまです。「いやー、オパーイって、ほんと、いいですね」なんてどっかの映画評論家のように語ってみても、この高尚なるオレさま的エロスがイマイチ余人に理解されないのは切ないですが、ぽまいらは、いかが夜の情熱を燃やして日々生きていやがりますか。



さて。もう少し、「引き寄せの法則」について考えてみよう。今はすっかりテメェの「願望実現ツール」として成り下がった感のあるこのテの法則。元は神秘学からの派生物だ、ということは何回か触れたことがある。



ダスカロスの理論でそれを示してもいいのだが、今日は別の神秘家を取り上げていく。この人も引き寄せの法則の元祖と言われている一人だ。ウィリアム・W・アトキンソン。そのものズバリの邦題「引き寄せの法則」などの著書で知られている。



さて。このアトキンソン、引き寄せに限らず、「記憶力」「集中力」(いずれもサンマーク出版)といったビジネスマン向けの本でも名著を遺している約100年前後昔の人だ。もっとも記憶力・集中力を鍛えるそのメソッドは、何気に神秘学のスピン・オフだったりする。



で、本人は表向きは弁護士として生きたが、その実、ヨーガ系の神秘家で、霊眼の高さはたいしたものだと著作からはうかがわせる。



彼が、「引き寄せの法則」(原題:The law of attraction of Thought world)を記したのは、はっきり言ってしまえば、何もこの法則を利用して「おまいら。願いを叶えまくれ」といった意味を込めてというわけじゃあない。



一部の社会的、権力的エリート層がこうした密教的知識を使っていることから、その対抗策として民衆にも知識を伝達して、「自己防衛する必要がある」と考えたからだ。ヨガの師がそれを命じた、ともいわれているが。



そして多分、「引き寄せの法則」という言葉は、1910年代あたりの彼の著作群によって初めて世に知られるようになっていった。



元々、彼が世に出したときは、そもそも「引き寄せる」という現象は、「念体」(ソートフォーム)の力によるものだ、という説明がなされた。ダスカロスの「エレメンタル」とまったく同じ概念だ。


ウィリアム・W・アトキンソン『引き寄せの法則』21~22p

「人は思うときには、絶えず念の微粒子を放っています。その速度と到達距離は、思う力によって決定されますから、力ある思想家が発する念と注意散漫な心が発する念とでは、大きな開きがあります。



このように発せられた念は、振動数の合う他人の念と一つになる傾向があります。本人の周囲に留まる念もあれば、「引き寄せの法則」にしたがって、雲のように流れ、同じ線で思考する人に引き寄せられる念もあります。

中略

念のもっとも顕著な形が「念体」です。これは強く積極的な念の集合体です。念体は、生き物に思えるほど強く積極的な力を帯びていて、作り出した本人と同じ精神的影響力を現に発揮します。」



ざっと簡単なところを抜き出した。



つまるところ、引き寄せの法則のコアは、文字通り想念の力で、自分の好ましい人物、状況を引きよせることにある。類は友を呼ぶ、のと同じ法則だ。



いわゆるスピで「アファーメーション」がよく言われるのも、この念体の力を強めるためだ。念体はそっくりそのまま、自分の強く信じる思いの力に比例する。



さて。何もアトキンソンは、このほかにも、オーラとカラーの関係や特質にもついて同書で記しているが、法則をどのように用いるかも、言及している。



次は、その一例だ。

前掲同書99~100p

「患者の生命力がかなり低い場合には、治療家のオーラから患者のオーラに向けて、エーテル物質が流れこみます。現に、多くの治療家が、死を目前にした患者を生命力とエーテル物質を文字通り注ぎ込むことによって、生命力をよみがえらせています。



心霊面で行われていることを別にすれば、この輸血に非常によく似ています。



熟練した密教徒は、オーラの色に関わる引き寄せの法則を心得て、これを治療に役立てます。患者に伝えるべき念を心中に保つばかりか、その念に対応する特殊な色を思い描くのです。」



そして本書に限らず、アトキンソンの類似した同書には、密教的哲学を中心に「現実の作られ方」やら「原因の結果の法則」を中心に語られている。



さて。



「引き寄せの法則」の元祖の一人と目されているアトキンソンだが。彼の著作を見ても・・・どこにも・・・宇宙には無限の豊かさがあって、誰もが金持ちになれるから、なれ!と推奨するようなことは、一切書いてねぇよ。



確かに、理屈の上では、神秘学のこれらの法則を理解して、ほんとに集中して用いることができれば、富の集積には大いに役立つだろう。



アトキンソンは、人生を向上させたくて悩めるヤシらに、人生のことわりを明かすために秘教の知識を公開した。大衆を隷属させ、富を刈り取るための畑・家畜扱いするエリート層への対抗策として、廉価に出版した。そしてまた、治療への役立て方などを示したんだ。



それなのにただただ富の集積やら願望実現のために用いるのは、彼が批判したエリート・権力層と同じ使い方ではないか?



と。オレさまは、思う。これでは、なんのためにアトキンソンやその師の秘教のグループが公開に踏み切ったのやら。本末転倒な使い方の奨励が行われ、あまつさえ、それが美しいスピ言葉で流布されている。




願いを叶える。夢を叶える。宇宙は、愛と豊かさに満ちている。



いくらでも、美しい言葉に置き換えることはできる。



だが、その「夢」の本質を見据えた上で、法則の利用は取り組んだほうがいいんじゃねぇかね。先日のジェームズ・アレンでも抜粋したが、やはり、本人の資質と努力に見合った願いが叶うものだし、そうあるべきだ。おまい自身のために。法則の利用ばかり上達して、「過度な欲望」ばかり膨らんでいっても、最後に待つのは、肥大したエゴイズムに溺れるだけの人生だ。




それは、もう中毒者と変わらない。欲望の中毒ほど、たちの悪いものはないんじゃないかね。



くどいが、唯物論者が願望実現に法則を実験的に用いて取り組む!というのなら、オレさまは何もいわない。勝手にやれば、と思う。



だが、ほとんどは、「スピリチュアル」に片足つっこんでるヤシが、法則の使用に取り組んでるだろ? だったら、もう一度、まずは「スピリチュアル」とはどういうことなのか、原点に戻る必要があるんじゃねぇかね。



ま。そんな話だ。

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