叡智と真理を探究する者のために

カルマ雑感2 ある個人の場合

原因と結果の法則(カルマの法則)がもたらす“痛み”からなんとか逃げたいと思っているうす甘い皆様こんばんわ。そんなおまいらは「カルマのムチでビシビシやられてドMになっちまえ。(藁」と言いたい気持ちを抱えてオレさまの登場です。




さて。ペスタロッチというスイスの教育者(1746~1827)がいた。オレさまは全然知らないヤシだが、シュタイナーの輪廻に関する著述において彼が触れられていたことがある。分かりやすい例なので、彼を題材にて原因と結果の法則を考えていこう。



彼は紀元前1世紀に、奴隷監督人だった。奴隷といっても、当時は奴隷を家庭教師にする(つまり教養があった)など、職は多様だった。現代人の「奴隷」という響きからくるイメージとは少し違う。(もちろんだからといって奴隷制度の容認ではねぇからな)



そしてとくに彼は、奴隷に対して寛容で親切だった。しかし、彼の上司は奴隷たちにキツく、残酷ですらあった。奴隷たちとの間に不和が生まれていた。だが彼は、部下という立場のため、不寛容な上司に逆らうことができず、奴隷たちとの狭間で苦しんだ。



さて。彼は上司との関係で苦しんだが、このことが彼と上司との間にカルマ的なつながりを産んだ。彼らは生きている間に、互いに学びあえなかった、ともいえる。



次に、部下の奴隷監督人は、中部ヨーロッパに一人の女性として誕生した。そしてカルマ的なつながりから、結婚した男性とはかつての上司だった。



さて、9世紀、彼らが住んだ小さな村は、村人たちがつよく結びついた場所だった。元上司はここで役人だったが地位は低く、村人からよく殴られるなどして、とても軽く扱われていた。



村人とは、かつて自分がぞんざいに、残酷に扱った奴隷たちだったのだ。



元上司は、この体験を通してかつての負債を支払っていった。この辛い体験は、「均衡」をとるためにも必要だった。



そして部下だった男は、元上司の妻として、この関係でもかなり苦しんだ。しかし、それでも夫を愛し、支え、カルマ的な関係を清算していった。それはかつて部下だったときに、上司に示すことができなかった献身的な態度だった。



カルマはそのように奴隷監督人、その上司、奴隷たちを1つの場所に導いたわけだ。



ではこれでこの上司、部下、奴隷たちのカルマ的なつながりは終わりだろうか? まだだ。まだすべてが成就したわけではない。



次は冒頭で記した教育者のときだ。かつての奴隷たちは、自分たちに好意的だった奴隷監督人たちとの間に築いた温かい関係のもとに再び集った。




教育者ペスタロッチに見られる慈愛と教育への情熱のもとに集い、奴隷たちは自分の子どもの教育を依頼する親という立場で関係をもったのだ。



これこそが、温和な奴隷監督人と奴隷たちとの間に築かれた、温かい絆が産んだカルマ的なつながりの成就だった。かつて蒔かれた種は、2つの人生を越えて、花を咲かせた。



無論、コレはシュタイナーの「霊視」だ。証拠はない。



だが、原因と結果の法則の現れ方の一例として、分かりやすいのではないだろうか。



さて、ここでは脇役だが、かつての上司にオレさまとしては注目したい。



彼は残酷な上司として、奴隷たちに辛くあたった負債を今度は立場を逆にしたかのように、体験している。大抵、負の原因というのは、立場を逆にした結果として表れることが多い。



剣を取るものは剣に滅ぶのだ。もちろんこれは、カルマによる「罰」ではない。彼はこの体験を通して、尊厳を踏みにじられ、バカにされ、苦痛を与えられることがどれほど辛く惨めなことなのかを学んでいったわけだ。とくに触れられていないが、もしこの体験で余計ひん曲がっていなければ、来世ではもっと人に寛容な人間になるだろう。



死の扉をくぐりぬけて自分の人生を振り返っていったとき、「自分はこの人生ではこんなにもヤなやつだった。つぎはもっと人に寛容でありたい・・・」といった具合に、「来世への衝動」を育む。



だが、もし叶うなら、「不寛容だった」ときに蒔いた種の結果を味わう生涯で終えるだけではなく、もっと早く学びきりたい。そしてその人生においても幸せに生きることはできなかったのか?と思うのが人だ。



もちろん可能だ。



それを可能にするのが、天国への門を開く「5つの鍵」だ。ここでも何度か触れたな。思考、集中、視覚化、観察、内省。とりわけ「観察」と「内省」なんだ。



自分の人生で立ちあらわれている環境(状況)。何ひとつもらすことなくつぶさに観察して、何を学ぶべきなのかを看取していく。そして意識的に、意欲的に取り組んでいく。



このプロセスではもちろん内省も平行だ。



「自分は村人からとても辛い仕打ちを受けている。なぜ私は彼らに軽んじられるのだろう」



「私が愚鈍だからだろうか」



「私が不親切と彼らには映るのだろうか」



「ただのきまぐれだろうか」



「どう考えても私の日頃の態度だけが問題とは思えない・・・。初めてあったときから、彼らは私を敵視していた・・・」



きっと、いろいろ考えるだろう。霊学に馴染みがあれば、過去世まで可能性に含めて考えることだってある。しかし、当時、ヨーロッパでそんなヤシは少数だ。



だが、それでも「自分には何か認識できない原因があるに違いない。できるところから、改善していこう」そう意欲的に、そして不平不満を言うことなく改善に向けて、取り組めば負債の均衡をとるだけでなく、さらに良い意味での新たな原因の種を蒔くことさえ可能になる。



原因と結果の法則は、無慈悲に機能する復讐者ではないのだ。



もし、もしもこの元上司がそうした判断・取り組みができていたら、彼はこの一生をカルマの均衡をとるためだけに費やすことはなかったとのじゃねぇかね。はたから見たら「惨めな」その人生において、早急に学びおえて幸せな結果をも体験することができたのではないだろうか。



神秘学を・・・スピリチュアルなことを学ぶ。オレさまたちは、そうしたことを選択している。



それは、自分がこの男のような立場にあったとしても、絶望せず、そして学びを正しく早める可能性を手にしていることを意味している。困難な目にあっているときこそ、逃げずにチャンスと思える気概と強さがいつも備わっているように、と願わずにはいられねぇな。



ま。そんな話だ。

 

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